JR東海で使用される英和辞書にはそのように載っているのでしょう。
ジャパンレールパス(以下JRパス、大人普通席)は今日現在、
7日間:29,110円
14日間:46,390円
21日間:59,350円
で販売されています。
のぞみで東京〜新大阪間(片道指定席)は14,450円、つまり7日間用パスでも東京〜新大阪間を1往復すれば殆ど回収できます(往復だと28,900円)。さすがに元を取るまではいきませんが、東海道新幹線で2往復すればかなり利用者はお得になります。
ただし、事業者側としては大損と映ります。2往復で57,800円入って来るはずが29,110円にしかなりません。
しかも、29,110円であってもJR東海に全額入ってくることはまずありません。当ブログ主はJRパスがJR各社でどのように収益配分が行われているのか分かりませんが、やはりJR一社だけが総取りできる仕組みがあるとは考えられません。これではJR東海がのぞみをJRパスに解禁しようという気にはならないでしょう。
ですが、東北新幹線の場合東京〜新青森間は片道指定席16,840円、往復で33,680円。7日間用なら1往復で元を取れます。
なぜJRパスではやぶさには乗れてのぞみには乗れないのか、もはや通勤電車とも言われつつある東海道新幹線の圧倒的な利用状況が影響しているのではないでしょうか。現時点での東海道新幹線は国内の乗客だけで莫大な利益を上げています。
そして海外からの観光客は東北より京都に向かう流れがはるかに大きいです。この流れを収益に生かせないどころか、200円か300円程度の特別料金(追加案)では埋められない損失が出ます。JRパス利用者は乗せれば乗せるほど損になる構図を前にしてなお、JR東海が「そうだ、(東京から)京都に行こう」と外国人に言えるでしょうか。
結局JRパスでのぞみに乗せないのは、現状でのJR東海の経営戦術としてはどうやら正しいようです。
もっとも、人口減が深刻になる近未来においてものぞみ利用禁止を続ける余裕があるかは分かりません。
それにしても、なぜみずほにも乗れないんでしょうか?
はやぶさやはやてと同じように外国人観光客は極端な話、客寄せパンダとみなして損失は国内の利用客増加で補うという発想は日の目を見なかったんでしょうか?いや、そもそもJR東日本がそこまで考慮して新幹線にもJRパスで乗れるようにしているのか、単に外国人の利用者が少ない為それほど損失にならないと踏んでいるだけかもしれません。
そうだとすると、なおさらみずほが利用できない理由が思い付きません。山陽・九州の外国人客の利用状況は東海道よりもJR東日本の新幹線群が近いはずで、東海道ほど大きな減収要因になっているとは考えられません。分かりやすい「答え」としては「東海道・山陽新幹線の慣習として、最速の看板列車にフリーライダー(?)は乗せない」という惰性による判断を九州新幹線にも適用した、となりますか。
余談ですが、JR東海に外国人利用客の利便性を考慮せよとの声が国内外から強まった場合、どのような対案を取るか一つ思い付きました。
"京都名古屋レールパス"(外国人向け)
7日間:2万2千円台
14日間・21日間用パス:販売しない
(JR東海の全線(のぞみも)利用可能。JR東日本・西日本・東京モノレール利用の際は別途料金が必要)
これでJR東海は身銭を切って観光立国・日本に貢献できます。
もっと身を削れというのであれば、京急とJR西日本を京都パスで利用可能にしておけば他社への収益配分はそれほど必要にはなりません。
(06/21追記)
JR東海がJRパス安楽死を加速させるなら、を考えた場合一番効果があるのはひかりも利用不可能にすることです。ひかりも利用不可能になればJR西日本や九州も追随し、
「のぞみ・ひかり・みずほ・一部のさくらは利用できません」
となるのはほぼ間違いありません。
JR九州は九州内のさくらは海外客向けに利用可能のままにしたいでしょうが、みずほが利用不可能な現状を見る限り山陽新幹線直通のさくらは西日本に押し切られる可能性が意外と高そうです。
ここまで魅力を削がれたJRパスを利用する外国人がどれくらいいるか、楽しみにしてみたい気もしますがさすがに観光立国・日本を阻害するとして政府も抗議するかもしれません。
(09/03追記)
タイトルだけ英語にしました。"What's your problem?"はそのまま「なんか文句あんのか?」で結構です。
鉄道ジャーナリスト梅原淳さんの青春18きっぷのJR各社への収益配分に関する考察
青春18きっぷから見たJR旅客会社の現状
http://blog.umehara-train.com/?guid=ON&eid=388912
を基に、JR各社が輸送人キロに従ってJRパスの収益(2014年4月現在で大人普通席7日用29,110円→日割り計算で4,158円)を分配しているものと仮定します(他3つの配分法は本社三社のいずれかに不満が出るため除外)。
北海道 1.8% 75円
東日本 51.7% 2,150円
東海 20.8% 865円
西日本 21.7% 902円
四国 0.6% 25円
九州 34% 141円
いくら「外国人観光客を誘致するため」という大義名分があっても、商売としてはアホらしくてやってられません。ただし、JR東海以外は「イールドマネジメント」ですか?空席が埋まればええわい、という考え方もできます。JR東日本もそれでJRパスを新幹線利用可能にしているのでしょう。
しかしJR東海の場合、大黒柱の東海道新幹線の座席利用率が63.5%(13年度)とはいえ、それは16両編成がオーバースペックなこだまを含んでの話。真の大黒柱のぞみは飛び乗り対策として乗車率を90%台にはしておけないと想定すれば、現状の60%前半は「空席が4割弱ある」のではなく「JR東海流の需要コントロール」の成果なのかも知れません。
そののぞみは、山陽新幹線への直通需要でも片道1回の利用につき1万円台をJR東海にもたらします。
東海道・山陽新幹線の運賃の分配比率表
http://app.f.m-cocolog.jp/t/typecast/1525029/1537329/95934489
そんな中、JRパスユーザーは1日1回片道だけの新幹線乗車であっても、JR東海には千円もくれないのです。それは他社も同じことですが、在来線に収入の柱を持たないJR東海にとって東京から新大阪まで新幹線ひかりに乗せてもJRパスで僅か「865円」の収入は東日本はもちろん関西圏を抱える西日本以上に実入りが少なく感じられることでしょう。こうしてみると、JR東海が「JRパスは当社にとっては好ましくない商品」と公式に言明していない(ですよね?)のは非常に我慢強いこっちゃなぁ、と感嘆します。当然、「JRパスは殆ど当社の収入にならないのでのぞみ利用解禁など考えられません」「ひかりのJRパス利用禁止も検討すべきかと存じます」とはおくびにも出さないことが前提になります。
これを踏まえた新たなJR東海のJRパス無力化策はひかりの乗車禁止よりは
"京都名古屋レールパス"(外国人向け)
7日間:10,500円台(1日1,500円JR東海の収入になる)
14日間・21日間用パス:販売しない
(JR東海の全線(のぞみも)利用可能。JR東日本・西日本・東京モノレール利用の際に別途料金は必要なし)
こちらの方が効果は高いとみます。11,000円か12,000円台にすれば、東日本や西日本にいくらか配分しても1,400円くらいは手元に残るでしょう。
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