「新幹線は並行在来線の機能をすべて置き換えるべし」
別の記事から鉄道ジャーナリスト梅原淳さんの言説を検証しようと思います。
整備新幹線の裏にある(不都合な真実) 1ページ目
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160328/dms1603280830002-n1.htm
冒頭から「昭和39年(1964年)10月1日の開業から10年を経過して老朽化にまつわるトラブルが多発した東海道新幹線」って何なんでしょうか。「鉄道の未来学」(角川one新書 2011年9月)でもそんな記述がありました。
「東海道新幹線の設備が老朽化してトラブルが相次いだため、1974年12月から1982年1月まで年間に最大で12日間、列車を半日運休させて精密検査や補修工事を行っている」(P89)
それだけ読んでたら東海道新幹線は飴細工か何かで作ったから僅か10年で劣化したように受け取れますが。サザエさんにもそんな4コマ漫画がありました。そっちは飴と雨が掛けてありましたっけ?
とはいえ私は曽根悟「新幹線50年の技術史」(講談社)で乗客と重量の増加に設備が耐えきれなくなった、との記述を見るまで真の原因は分かりませんでした。(P47~51 「自由席導入の誤算から線路の造り直しへ」参照)ただし、なぜ開業から僅か10年で老朽化したか、上記の梅原著書にもサイトにも説明はありませんが。
2ページ目の新幹線は「巨大かつ安定した交通機関」にも一言異論を。"高速"が加わらないと、いかに「巨大かつ安定して」いても時速100km/h台の交通機関ではそこまで大幅な集客は見込めなかったでしょうに。
最後の3ページ目、「新幹線が果たすべき新たな役割」が「並行していた在来線が果たしていたすべての機能の置き換え」…。
"日置りん"の名の通り、伊集院駅を主に使う住民の一人として、今まで言わなかったことを言います。
梅原さん、気は確かですか?
いくら近距離客の確保も大事だからって、新幹線から外れた駅は、例えば鹿児島県なら我が伊集院はまだいいとして鹿児島中央の隣の広木駅はどうするんですか?ただし、伊集院も広木も在来線しか通ってないから新幹線の駅を併設することはできません。
もっとも、新たに「現在よりもはるかに多くの」新幹線単独の駅を作ってでも近距離輸送に力を入れろ、というまでならもう梅原淳と私とは正気狂気の意味が違うと見なさざるを得ませんが。まあ、九州新幹線の博多~熊本間のように当初から近距離利用の取り込みを意識して建設された区間を、愚昧にして私は知らないんだったな。
他の鉄道関係者に対してであれば「"在来線のすべての機能を置き換える"ってのは言い過ぎ。せめて"中長距離の輸送機能を置き換える"でしょう」といえば済む話ではあります。しかし、梅原さんの場合は一度思い込んだらなかなか見直さないので(上記の「東海道新幹線が僅か10年で老朽化」とか)、やるだけ無駄かなぁとは諦めながらも「正気を疑う」と釘を刺さんと、と考えてしまいます。もちろん、すぐに抜かれるでしょうが。
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