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2016年6月11日 (土)

「安全唯一」 塀の外の懲りない阿部さん

週刊東洋経済増刊 「「鉄道」完全解明 全真相 2016」で(株)ライトレール社長の阿部等さんが「工夫と少ない経費で鉄道の運転時点間隔を短く(=増発)して輸送力を増強し混雑と遅延を解消する、5方策を提案」されています。

①進路開通と同時の出発
現行の進路開通後に出発するルールは三河島事故(1962年)をはじめとした進路開通前の誤出発による重大事故の経験に基づくものだが、保安装置が完備された現在では見直すべきではないだろうか、とのことです。

②選択停車ダイヤ
今回の記事のメインにつき後述しますが、上下線にそれぞれ1本しかない駅で3本に1本を通過させて電車の処理効率を向上させる。さらに、3駅に1駅を通過する分、所要時間を各停より短く、先行する各停につかえる優等列車と大差ないくらいにする、とのことです。(選択停車列車は快速A・B・Cとする)

③ドア閉めと同時の出発
車両のドア挟みの検知感度が低いせいで、安全確認をしてから出発せざるをえないため運転時隔が延びる。感度の向上と共にドア挟みを検知できなかった場合などは、ドア部に生ずる大きな力を検知して緊急停止する仕組みにする、とのことです。

④車両の加減速度向上
現行の鉄道の路線バスよりも低い加減速度を技術を駆使して路線バス並みに引き上げ、レールブレーキの導入でマイカー並みの非常ブレーキを持たせる、とのことです。

⑤信号の機能向上
現行の信号システムは軌道回路方式による列車の位置検知も制限速度の指示も粗く、安全のための余裕として速度指示を引き上げるタイミングを遅らせている。そのため、必要以上に車間距離を空け、かつ速度を低くしている。
軌道回路によらない位置検知、無線による迅速かつ正確な情報伝送、無線不通に備えた冗長設計など必要な要素技術を駆使したイノベーションにより、安全を維持しつつ運転時隔を短くする、とのことです。

5方策を順次中央線快速に適用していった場合、
運転時隔 1時間本数
現行 2分00秒 30本
①② 1分40秒 36本
③ 変化なし 変化なし
④ 1分30秒 40本
⑤ 1分20秒 45本

全て適用した場合現行の1.5倍の輸送力になる、とのことです。

②選択停車ダイヤについては以下のように、

ABC
新大阪 ●↓●
西中島南方 ●●↓
中津 ↓●●
梅田 ●↓●
淀屋橋 ●●↓
本町 ↓●●
心斎橋 ●↓●
なんば ●●↓
大国町 ↓●●
動物園前 ●↓●
天王寺 ●●↓

相性のよさそうな路線が素人目には考えつきません。というかこの場合、快速A半端なく混むなぁ!

その他の方策についてもネットでは散々斬られたのに阿部さんは懲りませんなぁ。

「安全唯一」とは、鉄道に対する世間の目が厳しいために、鉄道が従来のやり方を変えることをためらい、安全でありさえすれば利便性も効率性も経済性もお構いなしの、社会的にも経営的にも好ましくない状態に陥ること、を指す阿部さんの言葉らしいです。
「安全」は鉄道の目的ではなく前提であり、そのうえで利便性や効率性や経済性を向上させてこそ、利用が増え、収益を得られ、社会に貢献できる、との言はよし。しかし、加減速度をバス並みて「満員電車がなくなる日」(2008年 角川新書)以来の相変わらず危ない着想、ここまで阿部さんが懲りひんとは思わんかった。

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