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2014年1月 7日 (火)

国鉄は「建主改主」で破綻した!?で、東海道以外の新幹線は建なのか改なのか?

あけましておめでとうございます。皆様、七草粥のお味はいかがでしたか。私はまだまだ雑煮生活まっただ中ですが。

さっき気になって"建主改主"で検索したら、どうやらそのような単語自体が存在しないらしいのです。
これは国鉄再生からJR崩壊の足音が聞こえると噂される現在への流れを考える時、由々しきことではないでしょうか。

国鉄崩壊の過程において、
建(建設)とはローカル線建設
改(改良)とは三大都市圏の複々線化
が概ね代表として挙げられています。
新幹線建設については東海道新幹線は改の代表とされていますが、東北・上越新幹線は東北本線及び高崎線の複々線(改)ともローカル新幹線建設(建)とも解釈されています。山陽新幹線建設及び貨物設備拡大については当ブログ主にはよく分かりません。

国鉄は建主改従で破綻したとの論調が主流のようだ、と思っていましたが、検索を掛けた限りでは意外とそれほど勢いがあるものではないのかもしれません。「ローカル線の作り過ぎで赤字から抜け出せなくなった」とのアピールは世論に衝撃を与えやすくはあります。しかし、「五方面作戦で赤字から抜け出せなくなった」と訴えるのは、マスコミを抱えかつ最大の恩恵を受ける首都圏の住民が(奇跡的に)許したとしても、前者ほどのインパクトがあったかは疑問です。もちろんローカル線と複々線では設備撤去を前提とし得るか否かの違いはありますが、いずれも国民乗客の要望に応えて整備されたものです。

ローカル線と貨物への投資が国鉄を破綻に導いたとの認識は国鉄内部である程度共有されていたようです。
それだけでも経営体質への影響は大きかったのでしょうが、その中でさらに複々線化事業や新幹線建設、つまり路線改良もやってしまい、「建主改従」に完全に舵を切ったのではなく「建主改主」で多方面作戦を展開した結果、国鉄は再生出来ず沈んだというのが私の見解です。

こう見てくると、戦前の軍部が海軍の南進論と陸軍の北進論を両方採用した(形になった)あげく戦線が延びきったところを東から米軍に押されていった姿を連想します。いや、海軍内部での軍令部の長期持久戦論と連合艦隊司令部の短期決戦論の両論併用の方が影響が大きいでしょうか。
今に焼き直すと、
・整備新幹線とリニア中央新幹線は建設と改良、どちらの要素が大きいのか?
・ローカル線問題は建主改従路線の見直しとして捉えるのがよいのか?
といった課題が見えてくるでしょう。

なお、「五方面作戦」とは首都圏の輸送力強化のため、東海道・中央・東北高崎・常磐・総武の5路線を複々線化した事業であり、当記事内の"多方面作戦"の一部であって総称ではありませんので、念のため。

(1/12追記)
タイトルを少しいじりました。

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コメント

建主改従というのは大正時代の政友会・民政党の利益誘導争いで地方路線の建設に資金が投じられたことをいう言葉ですが、昭和初期の時代に一通り路線の建設が終わると改軌論や幹線輸送力増強論が台頭し、戦後も戦災から幹線の輸送力をどう回復し、近代化するかが国鉄の施策の目玉だったわけで国鉄は建主改従で破綻したとの論調はあんまり説得力がありませんね。

もちろんローカル線も新幹線も東京の通勤路線も建設費などが重荷になったのは当然として、ほかにも雇用配慮政策で受け入れた引き揚げ者の人件費の高騰や、退職金支払いの負担もありそれらのために適切な減価償却が行われず内部留保が作れなかったこと(公社ということで利益を必要な分溜め込むことができなかったから)、民間市場から低金利で効率的に資金調達できずに財投など政府系金融機関からの借り入れ中心で利子負担が膨らんだことが大きく、路線建設や設備や車両の更新自体が破たんの引き金になっていないし、今のJRもヨンサントオなどの近代化などでの国鉄時代の遺産で有利に商売を進めていたので国鉄の投資戦略それ自体を後知恵で批判するべきではないでしょうね。

今でいえば、高速道路などと同じく新幹線建設は設備の新設ですが、既存のサービスのグレードアップに役立つという点では「既存路線の機能のアップデート」と言えるでしょうか。(震災・笹子トンネル事故以来はそういう切り口での道路新規建設を優先する傾向がありますし)。ローカル線問題は建主改従路線のなかで無駄な設備を作ってもてあましているという問題でとらえるのが一般的でしょうが、一方でリニアや整備新幹線・東京の新線の整備が目白押しの今では逆にそれらのためにローカル線維持や改良のリソースが削られているという見方もできなくはないですかね。

投稿: きさら | 2014年1月12日 (日) 00時39分

あ、言い忘れたけどローカル線と新幹線ばかりでなく五方面作戦などが国鉄の負担の増大になったという見方は強調してもしすぎることはないですね。

田舎の新幹線とかよりよっぽど通勤路線のほうが割に合わないですからね。ラッシュのピークを捌く輸送力を求められる一方でヘビーユーザーは割引率の高い定期券で乗るし、普通運賃の客も短距離しか乗ってないし。

割に合わないローカル線と新幹線で田舎ものを喜ばせるために都会人の交通のリソースが奪われているという論調がネットやマスコミで消費されるが、都会の通勤路線整備が割に合うプロジェクトなら常磐新線はJR東日本が喜んで運営を引き受けたし、地下鉄の建設費と公営企業金融公庫から高い金利で借りた借金の償還が進んでいて黒字の路線ばっかりだし、同じ理由で新交通システムみたいな中量輸送路線ももっと人気で黒字が出て運賃も値下げできるはずだし、LRTもとんとん拍子で各地で建設が進むはずなのです。

投稿: きさら | 2014年1月12日 (日) 00時49分

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